最初

□Company
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高速を駆け抜ける。
気付くと、見慣れた街から段々と自然の多い景色になって行く。
ボーとしながら、ヘルメット越しからバイクのエンジン音と風を切る音が聞こえる。
目の前の見慣れた背中に頭を寄せた。
「(心臓の音がする…人が生きている音…俺は…。)」
「…綱吉、少し休もう。」
雲雀がバイクをサービスエリアに向けた。
駐車場に停めて、ツナを降ろして手を引いて室内に連れて行く。
自動販売機で買った紙コップに入ったココアを渡す。
「ありがとうございます。」
「まだ、寒かったね…もう少し厚着させれば良かった。ごめんね…。」
肩を抱き寄せる。
「大丈夫です…。」
「(ああ…まだ、そんな風にしか笑えないんだね…また痩せた…)」
いつもの感情と共にクルクルと表情を変えるのに今は貼り付けた様に笑顔だった。
元々、小さくて細い体も更に細くなっていた。
「(どこのどいつだか、どんな大きな組織だか知らないけど見付かり次第、咬み殺す。)」
と一ヶ月前の出来事を恨むと同時に誓う。
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