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□想いを込めて…
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「ふぁあ…あれ?何時の間にベッドに?」

寝ぼけ眼で目覚めたユーノは昨日の記憶を辿る。

「たしか、僕はソファーで寝てたはず…途中で寝ぼけてベッドに戻っちゃったのかな」

そう裏付けし、起きようとするが腰の辺りの違和感に気付く。
そして布団をめくるとそこには当然ベッドで寝ていたヴィヴィオがユーノにしがみ付く様に寝ていた。

確か、なのはが急な仕事で留守にするからって昨日から預かってたんだっけ。

(とりあえず、起こさないように脱出をしないと…)
そっとベッドから抜け出すユーノ。が、その時…惜しくもヴィヴィオは目を覚ました。

「……ユーノさん?…」
「ごめんね、起こしちゃった?」

ユーノが話しかけると、ヴィヴィオは意識がはっきりしたのだろうか、その人物が母親でない事を認識した。

「ふぁ……おはよーユーノさん」
「おはよう、ヴィヴィオ」

そういえば誰かと一緒に寝たのって何年振りだろう?
そのせいか久しぶりにぐっすり眠れた気がする。
人の温もりは心を安らがせるって、どこかの書物で見たけど本当なんだな。

ユーノの作った軽い朝食を済ませ、着替えを済ませる。
今日は平日なのでヴィヴィオも制服に着替える。

「それじゃあ、出掛けるついでに送っていくよ」
「うん♪」

通学路を二人で手を繋ぎ歩く。
朝の木漏れ日の間を縫って吹く風が心地良い。
なんだか束の間の休息って感じがしてきたなぁ。

そうしている間に学校へ到着する。

「それじゃ、勉強頑張ってね」
「うん。またあとでね〜」
「はい、いってらっしゃい」

僕は手を振りながら見送る。
ヴィヴィオは校門を潜ると校舎のほうへ駆けて行った。

「ふぅ、さてと…」
「あれ?ユーノさん?」

不意に声を掛けられ、振り向くとそこにはシャッハがいた。
聖王教会系列の学校なのでシスターがいても別におかしくは無いが。

「ああ、おはようございます。シスターシャッハ」
「おはようございます、ユーノさん」
「もうすっかり父親姿が身に付きましたね」

どうやら先程から影で見られていたらしい。
「はぁ…見てたんですか?なら、声を掛けてくれれば良かったのに」
「すいません。でも折角の家族の時間を邪魔したくありませんでしたから」

何だか知人に見られると少し恥ずかしい…〃

「今日はなのはさんはいらっしゃらないようですが…?」
「ちょっと仕事の方が立て込んでまして、それで昨日から僕がヴィヴィオを預かってるんです」
「ああ、そうでしたか。てっきりお二人とも一緒に住まれるようになったのかと…」

そういう風に捉えられてたのか。
ユーノの頬が少しだけ赤みを増した。

「いえ、まだそこまでは…って、何言ってるんだ僕は…」
「そうですか。では、私は朝の会議がありますのでこれで」
「ええ、それじゃまた」

シャッハはそう言うと数歩進み、振り返る。

「式には是非、当系列の教会でお願いしますね」

それだけ告げると早足で去っていった。

「は、はははっ敵わないな、もう…」
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