LONG BOYSLOVE

□君のトナリ―永遠の楼閣―
5ページ/6ページ

・・・そんなことを思う原因は、ちゃんとあった。
だってね、僕がふとしたことで思い出すのは全て君なんだ。
(手塚・・君なんだよ・・・。)

部活の帰り道、僕はあの日の道を毎日通る。平気なフリをしていても、胸は締め付けられるし、眩暈もする。
「ふーじ!!」
「ん?」
「ちゃんと話聞いてくれてる?」
「うん、聞いてるよ。大石がどうかしたの?」
「もぉー不二はすぐ下向くんだから!」
この道が手塚と僕が最後に会った場所だってことを英二にも、誰にも言ってない。みんなにとって何となく通ってきた道が僕の一言で意味を持ってしまうことが僕は嫌だった。
「落し物したんだよ。」
「うそばっかり。」
英二の明るさが僕の心を軽くしていく。
「不二は考えすぎる所があるからね。」
「そう?英二が考えなさすぎなんだよ。」
「ひっでーの!」
(まだ、僕は笑えてる・・・。)
笑うことが出来るならきっとあの日を悪い夢だと思えるかもしれない。
(・・・思えるわけ・・ない。)
「英二、先、帰ってて。」
「にゃんでぇ〜?」
「考え事するからさ。」
「ん〜〜ほぉーい〜バイバーイ!」
「バイバイ。」
先を行く英二の背中があの日とリンクする。振り払いきれない闇が心に広がる。

『お前はもう要らない。』

なぜ、僕にそんなことを言ったのですか?

なぜ、君は僕に隠し事をしたのですか?
(・・・どうか教えて下さい。)
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ