LONG BOYSLOVE

□君のトナリ―永遠の楼閣―
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[Scene.5]
 英二に支えられている僕は英二に会うたび、心の中で何度も“ありがとう”と言った。
 今日は関東大会準決勝、対六角戦の日だ。僕たちの目標である全国制覇を掴むための第一歩だ。
「不二!俺とダブルスがんばろうな。」
「本当?英二とダブルス大丈夫かな〜。」
「大丈夫に決まってる!不二のフォローならまかせて!」
「僕が英二のフォローするんだろうなぁ。」
僕は落ち着いていた、コンディションも良かった、大石の携帯電話に君からのメールが来るまでは・・・。
「おーい!みんな、ドイツの手塚からメールだ。」
(メール・・・。)
それはたった一言だった。

“油断せずに行こう。”

「部長らしいッスね!」
誰かがそう言った。僕もそう思う。彼のメールは淡白で用件以外は何も書かれていないのが普通だから。
冷静でいたつもりなのに僕は自分の鞄を開けていた。携帯電話を手にした僕はわかっていたはずなのにがっかりした。
(僕にメール・・・来るわけないのにね。)
こんな時ふと思う。もしも僕が副部長だったらって・・。毎日のように傍にいて、毎日のように連絡を取り合う。それが無条件で手に入ったのにって。
「ふじぃ〜!まぁた考え込んでる!!」
「うわっ!英二!!」
後ろから羽交い絞めにされた僕はバランスを崩してしりもちをついた。
「うはは!不二しりもちついてやんの!」
「えーいーじ!!突然抱きつくなよ!」
「不二が怒った!怖くないけどぉ!」
「もぅ!英二は!!」
英二は僕の雰囲気を読むのが得意ならしくいつも気付いてくれ、元気を分けてくれる。
「そろそろ試合が始まるね。」
「うん、そうだね。絶対勝とうね。」
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