LONG BOYSLOVE

□君のトナリ―永遠の楼閣―
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[Scene.3]
僕は倒れた日から英二を避け続けた。話はしても目を合わす事が出来なかった。いつも一緒に部活へ行っていたのに何かと理由をつけて断っていた。今日も僕の隣に英二の姿はない。
 もう一緒に部活に行かなくなって三日・・・君が居なくなって一週間がたってしまった。僕は今日部活をサボってしまった。そして3年6組の教室からみんなのいるコートを見ていた。窓際の席から見ていたら僕のほうを見上げる英二と目が合った。英二は僕に向かって手を振ってきた。英二の不安そうな笑顔に僕は得意の笑顔で答えた。

目を教室へ戻すとそこにはタカさんがいた。
「よっ!不二!」
「タカさん!!どうしたの?」
「ちょっと用事があって部活に遅れそうだったからさぁ、どうせならゆっくり行こうかと思ったんだ。不二はどうしたの?」
「ん〜〜〜・・・サボりかな。でも、僕が居るのよくわかったね。」
「廊下歩いてたら不二が見えたんだよ。」
「ふーん。」
タカさんは僕の方へ来て、僕の前の席へ座った。今、この教室には僕と彼しかいない。
「久々にのんびりした放課後だね。」
「うん。サボりだけど。」
僕たちは見合って笑う。タカさんの笑顔は暖かくて、まるで毛布に抱かれているような柔らかさがある。そんなタカさんの笑顔が僕は好きだ。
穏やかな時間が流れた。タカさんはあんまりお喋りをする方ではないけど、タカさんとの沈黙は重くなくて心地良い。タカさんの沈黙は、君の静けさにどこか似ていて、でもそれは僕の中での質量が違っているように感じた。
「不二はテニス好き?」
「うん?好き・・・だよ。タカさんは?」
「好きだよ!特にココのみんなとするテニスはすごく面白いよ!」
「僕もそう思う。」
「本当に?」
「えっ・・・!?」
「最近の不二は元気のないテニスしてるからさ。」
「そ、そんなこと・・・。」
さっきの言葉に偽りはなかったはずなのに、タカさんは僕の心の一番深いところを見抜いていた。
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