Daily Love

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よく分からないまま学校に到着。

テニスコートに向かう。


「琴音おそーい!」


「絵里ちゃん、試合ってどういうこと?」


『あ、琴音来たんだ。』


「入江先輩!あれ?」


汗もかかずに涼んでる入江先輩。

兵隊くんと試合だったんじゃ…?


『高田くん?だっけ?そこに居るよ。』


「あっ。」


兵隊くんはコートの隅っこに自身で大の字を書いてた。

汗はだくだくで、息も切れてる。


「図書館に行った帰りにテニスコートが見えて

そしたら高田が大きな声上げてるから見に来たの。」


と絵里ちゃん。


『まぁつまりは……、』

入江先輩が説明し出す。



* 回想(入江視点) *


今日の部活は午前だけ。

もっとやったらいいのに…もう終わっちゃったよ。


とりあえず日陰で汗を拭いて自主練を始めようとしたら

お客さんが来たみたいだ。



『篠崎さんのクラスメイトの高田です。』


こないだ保健室で会った子。


右手にはラケット。

テニスできるんだ。

筋肉はそれなりにはありそうかな。


『あぁ、こないだの…。どうしたの?』


『少しお時間いただけませんか?』


えらく改まった表情は元から?

話はおそらく琴音のことだろう。


『終業式の直後、俺篠崎さんを

8月の花火大会に誘ったんです。』


やっぱりね。


『でもこないだメールで断られました。

先約があるから、って……。』


『うん。』


『俺と試合して下さい。』


『え?』


話が急展開。

びっくりするどころか笑ってしまいそうになった。


『先約ってあなたのことですよね?


先約があるならその場で断るのに、明らかに先約なんて嘘じゃないですか。

俺が先に言ったのに不公平です!


そんなんなら、テニスで決めましょう!!』


あらら。

子どもみたいな意地だ。

よっぽど琴音と花火大会に行きたいみたい。


でも、あの素直な琴音が可愛い嘘をついてまで僕を誘ってくれたんだ。


琴音はよっぽど僕と行きたいよねー、なんて。


どっちみち断られたんだったら潔く諦めろよって思っちゃうけど

はりきってラケットまで持って来たんだったら

ちょっと相手してやるか。



『いいけど、相手の力量、ちゃんと測ってる?』


『くっ…やってみないと分からないだろ!!』


『そう。20ポイントマッチでいいかな?

早く自主練したいんだ。

キミの勝手な事情に付き合ってる暇はない。』


『っ…!そう言ったこと、後悔させます!』


『はいはい、サーブ権どうぞ。』


いつもの演技をするほどの相手でもなく試合終了。

ワンポイントも取らせなかった。
  
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