Daily Love

□7
2ページ/4ページ






「はぁ…。」


『ん…?』


「なんか、今星を見てるんですけど、

この星が入江先輩の所まで乗せていってくれたらなって。」


今までで一番勇気を出した言葉かもしれない。

普段こんなロマンチックなこと想像しても言わないのに

どうして入江先輩には素直に言えてしまうんだろう。


クス、と笑う声と受話器にかかる吐息の音。


『大胆だね。』


指摘されると恥ずかしさが急上昇して

それこそ今私が食べごろのりんごだ。


『そういう真っ直ぐなところ、好きだよ。』


「えっ……、」


――好きだよ

告白されたような気持ちになる。

いつかほんとのほんとの意味で言ってもらえる日が来るといいな…。


『ね、窓から顔出して。』

「……?」


窓から顔を出す。


会いたくてしょうがなかった人が

近所のマンションからこっちに手を振ってる。


「わあ!すごい近いんですね!」


嬉しくなって、大きく手を振る。

そういえば、以前こんなシチュエーションがあった。


6月の初夏、夏服に変えた日のことだったかな。


『あの時は鼻血出しちゃったよねえ。』


「うっ……。」


『はは、ごめんごめん。』



  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ