Daily Love

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『篠崎さん…?』


突然カーテンを開けて顔を覗かせたのは、兵隊くん。


『倒れたって聞いたから心配で来たんだけど……

今…キ、キ……キ……、』


ひどく顔色を変えた兵隊くん。

入江先輩と私がキスをしているように見えたのかな…?


「違うの、この先輩は私を保健室に運んでくれてね、それで――、」


『元気にしてあげたくてキスしようとしてたんだ、

いつもみたいにね。邪魔しないでくれるかな?』


いつもみたいに…!?


こんなときなのに

入江先輩とのキスシーンを思い浮かべてはひとりでドキドキしてしまった。


『っ……篠崎さん、本当にこの人と付き合ってるのか…!?』


「えっ…?」


『俺、見てた。

君たちふたりが一緒に帰るところっ…!』


見てたの?

入江先輩に夢中で全然気がつかなかった……。


今にも泣き出しそうな兵隊くんの瞳は

どこまでも純粋な本物の真珠。

何も混ざってない、真面目のシンボルのよう。


『さあ、どうだろうね?』


入江先輩は鋭い目で、艶のある唇で弧を描き

私の頭をそっと胸に抱きしめた。


ドキドキと緊張が混じってわけが分からない。


『なっ……!

こっ、こここ公共の場でそんなことを…!』


食べごろのりんごみたいに真っ赤な顔。

こういうことに対する免疫が私よりないみたい。


それが面白かったのか、

入江先輩は吹き出すように笑いをこぼした。



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