Daily Love

□6
2ページ/4ページ





見慣れない天井。

覚えのあるアットホームなにおい。


『気がついたかい?』

寝起きでも耳に優しい声。


「ん……入江、先輩……私、」

『急に意識失うからびっくりしたよ。』


そうか、ここは保健室。

プールのとき、入江先輩のセクシーさが私には刺激が強すぎて

失神してしまったらしい。

そして、入江先輩が運んでくれたそうな。


あれ……?


「っ…!?」


バッとタオルケットの下を見ると、制服。


『絵里ちゃんとかクラスの女の子が、風邪ひいちゃうからって。』


びっくりしたー…。

後で絵里ちゃん達にお礼を言わなくっちゃ。

それでも運んでくれたってことはもろ見られたってことだよね……うん……。


『具合はどう?熱はないみたいだけど。』


「…ちょっとふらふらするくらいなんで、大丈夫です。」


『喉渇いてる?』


「あ…少しだけ……、」


『じゃあこれあげるよ。』


差し出されたのは、スポーツドリンク。

こないだ私が入江先輩に差し入れしたのと同じ。


「(恩を忘れない人なんだなあ……。)

…ありがとうございます。」


飲みたくて、体を起こそうとしたら背中を支えてくれた。

またお礼を言って、スポーツドリンクを身体へ流し込む。


ずっと支えてくれている腕に、熱を感じる。


『もう少しで夏休みだね。』


「…はい。」


『しばらくは琴音に会えないのかあ。寂しいな。』


飾らないその言葉は

信じていいんだよね……?


『本心だよ。』


間近で見つめられる。

近すぎる距離にみじろぎそう。

目を合わすのが恥ずかしくて、視線をそらしてしまう。


『僕の目を見て。』


「あ、の…………。」


思い切って目を合わせる。

茶色い瞳は、嘘をついていない。


ね?と頭をくしゃりとなでてきた。


嬉しくって、笑みがこぼれた。



  
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ