Daily Love

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「入江くん!もう具合いいの?」


『ええ、おかげさまで。

それより、消毒とテーピングなら僕やりましょうか?』


にっこりと微笑みを見せたその人は、先輩だった。


グランドで探してやまなかった先輩……。


やっぱり体調崩してたみたいでしんどそう。


「(入江先輩っていうんだ……大丈夫なのかな……。)」


いつものように見とれていると、いつの間に先生の姿はなくなってた。


ふたりきり……?

心臓が壊れそうなほど緊張する。


『こんなにけがしちゃって、どうしたの?』


「あっ!その、えと……。」


『はは、緊張しなくていいよ。』


天使の微笑みは、少し熱があるようで顔が赤い。

ちょっと可愛いと思ってしまったのは内緒で……。



「ハードル走でこけちゃって…。」

『そっか…痛かったね。』



――きゅん。

締め付けられる胸。

頭にちょんちょんと何かを感じた。


その長い指。

どうやら心臓はもちそうにない。


「あっあの、先輩は大丈夫なんですか…?」


熱くなる顔を隠しながら必死で話題を変えた。


『ちょっと熱があるだけだから気にしないで。』


「でも……。」


『いいからいいから。ちょっと我慢してね。』


「いっ…!!」


けっこう強引に消毒を始めた入江先輩。

ギャップに驚いている余裕は痛みにかき消された。


『足とひじはこれでオッケー。最後はほっぺただね。』


近づいてくる顔。

しんでしまいそうなくらい胸がドキドキ苦しい。



今度は、痛みを忘れていた。

長くて細い指、ふわふわの髪、大きな瞳。

全てがすぐそこにある。


絆創膏をはると、離れていく。



離れないで……

手を伸ばしたくなるほどの名残惜しさ。


遠くで見ているだけでよかったのに…矛盾した自分に戸惑いを隠せない。


『大丈夫?』


入江先輩のお顔がすぐそこにある。
顔を覗き込んできたらしい。

咄嗟にうつむいてしまった。



『………クス。』


また頭にぬくもり。


嬉しい…恥ずかしい…。


もう私、

どうしようもないくらい入江先輩が好き…!


過去の裏切りなんてもういい。


近づきたい、知りたい、触れたい……――



continue..
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