テニプリ

□白石蔵ノ介
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〜彼の言ったコト〜


私は青学の男子テニス部のマネージャー。

今日から3泊4日、青学と四天宝寺の合同合宿!


今は1日目の夜11時。

仕事を全部終えてお風呂に入り、さぁ寝ようかと思ったら

昼間使っていたタオルがないことに気付いた。


「あれー?ないなぁ…。もしかしてテニスコートの方に忘れてきちゃったかなぁ。」


心配だからコートに行ってみた。





「ん……誰かいる?」


コート内をよく見ると、なんと四天宝寺の部長さん!


今日ずーっと目で追っかけさせていただいた白石部長だ!!


カッコいい……一人で練習してるみたい。

頑張ってるんだなぁ……。


わ!こっちに気付いた!!


『あ、青学のマネージャーさんやん。こんな時間にどないしたん?』


「あっ、あの、えっと…わわ忘れ物しちゃったっぽくて…。」


あんまりにも爽やかな微笑みでドキッとしてしまった…。


『アハハ、そない緊張せんでも。』


目を細めて笑う。

やっぱりカッコいい…!


『何忘れたっぽいん?』


「あの、タオルを…。」


『ああー、あのシンプルなやつやろ!
水色で、クローバーついてるやつ。』


「あっ、それです!」


『あれなぁ、うちの一氏が持って行ったで。』


「え!?」


『練習終わった後そのタオル見つけて、きっとマネージャーさんのやろな思って渡しに行こうとしてんけど

マネージャーさん見当たらへんかってさ。

夕飯の支度かなんかで忙しいんかなってみんなで言うてたら

一氏が“俺が洗って返すー!”ってめっちゃ張り切って持って行ったわぁ。

ゴメンなぁうちの部員が。』


「いえ!わざわざありがとうございます!」


『ちなみに一氏、マネージャーさんのこと可愛いって言うとったで。

そのタオル洗って返す言うてたときもめっちゃ嬉しそうやったから、一目惚れしたんかもしれへんなぁ。』


「そっ、そんな一目惚れだなんて、ないですよ……!」


だからその笑顔は反則なんだってば…!


一目惚れ……か。


最初白石部長と挨拶したときのことを思い出す。


あのときは、すごい電撃が走った。

紛れもない“一目惚れ”だった。



『彼氏とかおる?』


「え、今はフリーですけど…。」


えっ!これは何の展開…?


これって、気になってる人に聞きたくなるNo.1の質問じゃない!?



『いやぁーなんか一氏のやつけっこうガチっぽくてなぁ。

なんも話聞いてへんから分からんけど、そんな感じがするねん。

せやからちょっと聞いてみただけ。』


あ……そういうことか。

なんだ。


胸が痛む。


「……そうなんですね。」


『どしたん?』


「えっ!どうしてですか?」


『なんか、悲しそうな目してるから……。』


「そんなことないですよ。」


あぁ……泣き虫が発動しそ………。


『ホンマに?具合でも悪いんちゃうん?』


「いいえ、大丈夫ですよ。」


『全然大丈夫じゃない顔やで?』


下を向いて首を横に振った。


『ヤバそうやで…。』


「いや……ぜんぜ、ん………グスン……ッ…うっ…ひっく……。」


とうとう発動してしまった……。


『ちょ、とりあえずベンチ座り。』


手を引いて座らせてくれた。



5分くらい泣いちゃった。

その間白石部長はずっと背中をさすってくれたり、頭をなでてくれてた。


『落ち着いたか?』


「……はい。」


あぁ……絶対変な印象与えたよね。

知らなくてよかった情報も入ってきちゃったし、タオル取りに来なければよかった。


「あの……。」


小さく震えた声で言うと、白石部長は聞き取ろうと顔を私に近付けた。


「私は……白石部長に一目惚れしちゃったんです。」


『!!


……………それで泣いてもーたん?』


優しくて近い声に、うんとうなずいた。


泣いた勢いでコクってしまった……早いよ私…。


『そうかぁ………。




三角関係なったらどないしよかな。』


「えっ?」


『いや、なんもない!』


大阪人は冗談がキツいってよく聞くから
きっとジョークなんだろうなぁ……。



『まっ、とりあえず部屋戻り。

泣きたかったらいっぱい泣いたらいいし、誰かに相談してもええ。

落ち着くために寝るんでもええ。

夜遅いし危ないから部屋まで送ったるわ!』


「え、あ…はいっ。」



いや、でも大阪人の中ではキツくなさそうだから
もしかしたらジョークじゃないかも……。


どっちなんだろう……。




三角関係は辛いものがあるだろうけど




もしこの恋に可能性が出てくるのであれば




さっき言われたコトが




どうか、どうか、






ジョークじゃなくありますように…………。





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