テニプリ

□観月はじめ
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〜実は〜



ここ最近、片思い中の観月先輩が毎日のように部屋に呼んで下さる。


一人部屋なんだよね……大量のデータを見れば納得せざるを得ないんだけど。


そんなことはさておき、どうして呼んでくれるのが“夜”なんだろう。


ちょっぴり期待しちゃうんだけど、べつに何か起きるわけではなくて

“ちょっと来なさい”と招かれ

リッチな紅茶が出てきて

先輩はデータノートや課題とにらめっこ

そして先輩が寝るときには私は自分の部屋に帰らされる。


今日もそんな感じで

先輩がにらめっこ中私は黙って紅茶をすする。


ちょっと話しかけてみよっかな。


「ねぇ観月先輩ってどうして最近ほぼ毎日私を部屋に呼んで下さるんですか?」


『……………。』



集中しすぎて聞こえてないみたい。

周りも見えなくなるくらいデータに真剣になれるってステキよね。


そのとき、本棚にあるものが目に入った。


「あ……テニスの王子様、20.5。


懐かしい。観月先輩もこういうの買うんですね。

あ、観月先輩のページ発見。


ふむふむ、情報を自在に操る究極の司令塔……。

今さら気づいても遅いよ。って、前言ってた言ってた。」


観月先輩はデータに夢中で聞こえてないだろうから堂々と独り言。


「習癖から見る観月はじめ。


髪をさわる。
責任感が強くプライドも高いが、人との繋がりを大切にし、孤独を嫌う一面も持つ。

実は寂しがり屋で、常に友人と一緒にいたいタイプなので、

仲間達との寮生活は、彼にとって居心地が良いはずだ。



ふーん、そうなんだ。

だから机に向かっているとはいえ夜の一人が寂しくて私を部屋に呼ぶのね!……あ。」


これ聞かれてたらヤバそう!

ていうか完全にヤバいやつじゃん絶対怒られるよ!!


観月先輩をちらりと見ると、真剣な目で今日取ったであろうデータをまとめていた。


ふぅ……よかった。

何事もなかったかのように自分の部屋に帰ろう、うん、そうしよう。


私は観月先輩の肩をトントンと叩いた。


「観月先輩!私友達の部屋に行く約束してて、もう時間なんで行きますね!」


『そうですか、今日の紅茶はいかがでした?』


「とっても美味しかったです。

また飲みたくなっちゃいました。
ごちそうさまでした!」


『ならまた入れてあげましょう。
では、男達には気をつけて帰るんですよ。』


「はい!じゃあ、おやすみなさい。」


『おやすみなさい。』



いつもどおりの笑顔で観月先輩の部屋を出た。

一安心。

何事もなく部屋に戻った。






『まったくあの子は……僕が聞こえていないとでも思っているのですかね…。

あぁ恥ずかしい。


データマンである僕はデータを取りながらテニスだってできます。

一つのことに集中しながらでも何だってできるんですから、もう。


次会うときなんだか気まずくなりそうですね。


しかし、今日の紅茶また入れてさしあげると言ってしまいました…。


んふっ、まぁいいでしょう。

いずれは寂しいことだって打ち明けられる関係になるんですから。』




*
 

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