Daily Love

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幸せなひきこもりが当たり前になった、8月後半。


そろそろ宿題をやり始めなきゃいけないとは分かっていても、

結局は2、3日前に焦りだすパターン。



入江先輩とはあまり連絡をとってない。


私が隣にいるせいで、入江先輩は苦労してる。


ストーカーに遭ってたときは、結局一人で解決できなかった。


兵隊くんに試合を申し込まれるなんてとんだ迷惑な話だろうし、何よりみつきさんのこと。


私が一緒に居たから、大事な腕はケガを負った。

大好きなテニスを一時的にでも取り上げてしまったことになる。


琴音は悪くないよって入江先輩は言うけど、それでも私に責任がある。



やっぱり私は入江先輩にの隣にいちゃいけなかった。


入江先輩のお父さんには、

犯人がみつきさんであることも含めて、今まで起こったことを全て話した。


“最初はよかれと思って許婚にしたんだが

奏多はみつきちゃんとは絶対結婚したくないみたいでね

キミは、みつきちゃんの願望を止めるきっかけになると思う。


結婚しろと言っているわけではないけど。


父親として言うが、奏多はキミのことが好きだと思うよ。

あんなに人前で心を開く奏多は初めて見た。

キミには、どんな形であろうと奏多の隣にずっと居てほしい。”



そう言われたけど、今こんな状況。


入江先輩の疫病神のような存在になってしまった。


骨にひびの入った右腕がそれを物語る。


新しい人生を歩む気持ちで入江先輩に手をのばしたけど

変わらず手を引っ込めてただ見ているのが正解だった。


何もしていなければ、入江先輩はこんなに苦労しなかった。



それに実際入江先輩が私を好きだなんて保証はどこにもない。


ただの妹にしか見られてない可能性だって大きい。


確かに心は開いてくれていたのかもしれないけど…。


悪になっても譲りたくなかった恋。


この人だけは、と思ってた。


でもやっぱり悪になってはダメだった。


彼自身を傷つける悪は、引き下がらないといけない。


「っく……う……ひっく…。」


この恋が始まってから何回泣いてるんだろう。


こうして涙することも

入江先輩を困らせるんだよね。




全部言おう。


そう、全部………。
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