Daily Love
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ざわめきの中、我を忘れて叫ぶ。
右腕に手を当てて、苦しそうに顔を歪めるその人の名を。
さっきまで居た道を見上げると、唖然としたみつきさん。
ああ、そういうことか。
「誰かっ…誰か救急車を呼んで下さい!」
急いでケータイを取り出す人の横で
みつきさんは涙を流したかと思うと何処かへ走り去った。
「入江先輩、大丈夫です…今救急車呼んでもらってますから。」
『ありが、と…。』
たまたま遭遇したのか、後をつけられてたのかは分からない。
みつきさんが後ろから私を下へ落とそうとして
入江先輩が私をかばって、身代わりになってくれた。
私が突き落とされた方がよかった。
スポーツも何もしていない私と、テニスが大好きな入江先輩とじゃ
怪我の重みが全く違う。
無傷でいる自分に、この上ない現実逃避に陥った。