Daily Love
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私はいつまでこうしてるつもりだろう。
ケータイ画面の11桁の数字。
ずっと見つめては決定ボタンを押せずにいる。
保健室で介抱してくれたお礼を言おうと思って、
ケータイ片手にベッドに寝転んだのはいいけど…
「うー、どうしよう……。」
夜10時くらいにケータイを開いてからもう1時間経つ。
「夜遅いしメールにしようかなー…。
いや、でも電話でしっかりお礼を言いたいしなぁ。
メールじゃ伝わらないこともあるし…。
でもこんな夜遅くだと迷惑だよね…。
もう……なんで1時間も迷ってたんだろ。」
ぶつぶつぼやいても仕方ない。
どっちかに決めないと!
「ええい…っ!」
――ぽちっ
――TRRRRR…TRRRRR
かけちゃった…ああ緊張する…!
ちゃんと言えるかな…?
あああ、やっぱりメールにしたらよかったかも…?
――只今、電話に出ることができません。ピーッと……
「ダメかぁ……。」
がっくり枕に顔を埋める。
――♪〜♪〜〜
「!?」
慌てて顔を上げた。
画面には“入江奏多”の文字。
早く決定ボタンを押せ!押せ!押せー!!
――ぽち。
「も、もしもし!?」
『もしもし?どうしたの?そんなに驚いて。』
焦る私に驚く入江先輩。
「あ、いや、大丈夫です。」
『そう?それより急に電話なんて、何かあった?』
思い切って今日の感謝の気持ちを伝えた。
『いえいえ、具合はもういいの?』
「はい、もうすっかり。おかげさまです。」
電話越しの、大好きな声。
優しくて、艶やかで……。
でも、声だけじゃどうしてももどかしくなる。
カーテンの隙間から見える星。
入江先輩も見てるかな?
当たり前にある星が特別に見える、って
こういうことなんだ……。
ああ、お星様……どうか……。