Iolite
□●第八章 偵察●
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馬がいるところに来ても、何故かビルボどころか馬の見張りをしているはずの若いドワーフ二人もいなかった。
首を傾げながら辺りを見回す彼女の目に横倒しにされた木々が目に入る。
木々の根元はまだ土が乾いてはおらず、そう時間が経ってないことを示していた。
何事かが起きていることを察したルリは一瞬、皆のところに戻り報告するという考えが頭を過った。
しかし、今まで足を引っ張るのみで何一つ役に立てていないことに後ろめたさも感じていたため…
とりあえず何かしら情報を掴んで戻りたいという思いが勝った。
『様子を見るだけ…ちょっと見るだけ』
そう自分に言い聞かせて木が倒れ道しるべとなっている方向へ進んで行く。
すぐに灯りが見え…彼女は足を止めた。
木陰から恐る恐る顔を出した彼女はそこに広がる光景に目を見開いた。