Iolite
□●第七章 野営●
1ページ/8ページ
それから数日後、彼らは大雨の中…馬を進めていた。
「あの…ガンダルフさん、この洪水どうにかなりませんかね?」
「洪水ではない、雨じゃ」
ドーリの声にガンダルフは僅かに後ろを振り返り、もっともらしく答える。
「雨は降り止むまで降り続けるものと決まっておる。天気を変えたくば他の魔法使いに頼むことじゃな」
他の魔法使いは実際に天候を変えられるのか…
そもそもそのような力があるのか…
彼の飄々とした口ぶりからは分からない。
もっとも彼らが知っている魔法使いはガンダルフただ一人。
事実がどうであれ…その魔法使いが否と言っているのだ、これ以上の議論は無駄だとドワーフ達は口を噤んだ。
だが、好奇心旺盛なビルボは別。
「他にもいる?」
「…何が?」
「魔法使い」
ガンダルフは前に向き直って宙を見た。