Iolite
□●第六章 憎しみ●
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何度目かの寝返りを打ち…ルリは深くため息をついた。
屋外で寝たことなど…ましてや固い地面の上に寝たことなどない。
体は慣れない馬上での移動に(誰かの…主にキーリとフィーリの後ろに乗っていただけだったが)疲れ果てていたものの、睡魔が訪れる様子はなかった。
ふと視線を上げると鋭い氷のような色の瞳にかちあって思わず息を呑む。
近くの岩場に背を預けていたトーリンは全てを見通しているような目で彼女を一瞥するとすぐに視線を反らした。
『…ごめんなさい』
旅慣れず素直に眠りにつけないことすら責められているような気がして、思わず謝罪の言葉を口にするルリ。
その小さな声にドワーフ王は聞こえないふりをするかと思われたが、ややあって応えがあった。
「…何がだ」