Iolite

□●第五章 一行●
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最後尾を進んでいたキーリがふと馬の足を止めた。

側を並行していた兄のフィーリがそれに気付いて振り返る。

「どうした、キーリ」

キーリは横の木々の間を凝視しているようだった。

つられるようにフィーリも周辺に視線を這わす。

「トーリン!」

兄の問いかけに応えずにキーリは伯父でありリーダーであるトーリンを呼ぶ。

一行の先頭にいたトーリンが振り返り、彼に続くドワーフ達も馬の歩みを止めた。

「ワーグ(魔狼)だっ!」

一瞬にして一団に緊張が走る。

彼の言葉に呼応するように木々の間から大きな狼が一匹、トーリンに飛びかかってきた。

トーリンは馬ごと身をかわし、ドワーリンが素早く斧を魔狼の頭に叩き込む。

だが、馬上からの一撃では頑丈な魔狼の息の根を止めるまではいかなかった…

それは後方に飛びさすると再び攻撃を仕掛けるタイミングを計り姿勢を低くとる。

 
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