Iolite

□●第一章 来訪●
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コンコン

控えめなノックがバギンズ邸に響いた時、ドワーフ達は袋小路邸のあらゆる食べ物を腹に収め…

残っているのはまだ調理前の食材だけだった…

一服しているところだった。

先ほどまでの大騒ぎから一転、珍しく誰もが口を噤み…帰れぬ故郷へ思いを馳せていた。

再びノックの音がし、玄関に一番近い場所にいたボフールが特に急いだ様子もなく応対に向かう。

ドワーフの何人かは興味深気に彼の後ろを目で追ったが、トーリンを初めとする数人は気にせずにパイプを吸っている。

ギィとわずかに軋んだ音を立ててドアが開くと…

果たしてそこには14人目のドワーフでも別の魔法使いでもなく…

ホビットの女性が一人立っていた。

彼女は扉を開けた人物が一人暮らしをしているはずのビルボ・バギンズではなく…

しかもホビットですらなく…

戸口を塞がんばかりに縦にも横にも大きなビフールであることに大きく瞳を見開いた。
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