Iolite
□●プロローグ●
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「いるわけないよー」
「いるって言ってたもんっ」
久々のホビット村をのんびりと散策していた老魔法使いは可愛らしい言い合いに足を止めた。
生け垣の向こう側…彼に取っては腰にも届かない低いものだったが…で、ホビット族の幼い子供達が声を張り上げて何か言い合っている。
「どうかしたのかの?」
声をかけると彼らが驚いたように振り返った。
計ったかのように一斉に視線を上げ…そして揃えたように瞳を輝かせた。
「「「ガンダルフッ」」」
好々爺そのままの笑みで返事の代わりに頷いた彼に子供達は畳み掛けるように問う。
「あの話は本当だよね、ガンダルフ」
「嘘だよ、いるはずないよね、ガンダルフ」
まぁ落ち着くんじゃ…と灰色の魔法使いは杖を持っていない方の手をヒラヒラと振った。
「儂にも分かるように聞いてくれんか? 一体、何がいるとかいないとか言ってるんじゃ?」