Fifth year
□◆第七章 黒犬◆
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【必要の部屋】に入ったルリは思わず歓声を上げる。
『うわぁ〜〜〜〜』
そしてその見付けた黒い物体に駆け寄って膝をつくと力一杯ぎゅううと抱きしめる。
その大きな黒い生き物は見かけとは別に大人しいらしく…
毛皮に頬擦りするルリを嫌がる様子もなく困ったように見下ろしているだけだった。
ルリはようやく満足して顔を上げると、自分を見つめている灰色の瞳に気付いた。
その温かな光を称えた目はよく知っているもので…。
『……シリウス?』
彼女の囁くような呼び声にそうだと肯定するようにゆっくりと瞬きをする彼。