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□TAMA 09
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「ほーうら、にゃあって鳴いてみなせェ」
「…は?いやだ」
「ご主人様には敬語を使うだろィ」
「いだだっ!わ、わかりました…」
「ほーうら、にゃあって」
「……にゃあ」
「あははっ!いい眺めですねィ」

何コイツ。殺したいんですけど。マジで殺したいんですけどー!
短い人生、生きてきた中で人にここまで殺意を持ったのは初めてだ。
猫耳と首輪つけられて、猫のまねさせられて、頭なでられるって、とんでもない屈辱。
しかも首輪にちゃんとタマって彫ってあるし。なんなんだよ、お前はァァ!

約束どおり、私は1週間悪魔専属の女中へとなってしまった。
女中?そんなもんじゃないか。奴隷だ。もうこれは奴隷といってもいい。
朝、屯所へときてみれば、ミニスカートの着物に猫耳、首輪が置いてあって、悪魔はいつもどおりの笑顔でそれを着ろ、と命令。
逆らったら危うく殺されそうになった。(刀をぶんぶん振り回されて、もう少しで首飛ぶところでした)
ミニスカートなんて生まれて初めてきるから、恥ずかしくて死にたい気分になった。
でも総悟は私の気持ちなんておかまいなしに、肩を揉めだとか、膝枕しろだとか、土方さんを殺して来い(出来るわけがない)だとか命令してきて。舌打ちするのと泣くのを何度我慢したかわからない。

「タマ。団子が食べたいから買って来い」
「え。こ、この格好でですか?」

太ももの大部分がさらけ出されているこの格好で、外に出ろというのか。
想像しただけでもぞっとする。こんな太い足、出したら犯罪ものだと思う。
それだけは勘弁してほしい。

「む、無理です!マジで!本当に!」
「ご主人様に逆らったら…」

すっと差し出された、鞭。それを悪魔はぶんぶんと私の目の前で振り回す。
ひえええっ。こいつ、本物の悪魔だ!と改めて思った。
これで痛めつけられるか、この太い足をさらけ出して外に出るか…。
どちらもいやだ。けど、私はMじゃないィィ!

「わ、わかりました!」
「ッチ」

舌打ちされたけれど、それを無視して私は外へと向かった。
屯所の門を出たら、さすがに猫耳と首輪は恥ずかしいので取っておく。
大丈夫だよね。だって悪魔がついてくるわけじゃないし!また入る前につければいいのよ!

ゾクッ
なぜか、急に悪寒がしたけれど…私は無視することにした。
絶対にあの悪魔からだとわかるけれど、それでも無視することにした。
大丈夫だ。なんとかやり過ごせばいいもの。大勢の人に恥ずかしい姿を見せるんなら、悪魔のお叱りでも受けてやるわ。




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