小説・詩(pokemon)
□白鋼の塔
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白鋼の塔
ルカリオは一歩一歩踏みしめるように階段を登っていった
闇に潜むしなやかな足先も今は力を失い、
なるはずもない共鳴音が
カツン…カツン…
段から柱へと響く
純白の鉄骨で組まれたその塔は、
街のすべてを見下ろしていた
強烈な日差しと上空の爽やかな風が混じり、
幾何学模様の影を吹き飛ばしていく
敗北の味は知っていた
それが心身にどんな影響を及ぼすのかも
では何が彼の足を動かしているのか?
それは神でも知りえぬことだった
恐怖はない
一つ気がかりなのは、
鋼のように強靭な肉体は
地に叩きつけられる衝撃にも
耐え切れてしまうのではないか、ということだった
波導は世界を飲み込み、我が身に迫る
小さな器に水を注いでも
壊れず溢るるのみならば
少しは説明もついただろうか
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