素敵な貰い物[文]
□キバトリさんからの8000Hitキリリク
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byネロ
ベルザラントに向かう途中に立ち寄ったトルムの町。そこに着いた夜、俺とドルクは宿から出て、町の外で夜風に当たりながら話しをしていた。俺は冷えて来たこともあり、先に帰っていた。
それにしてもドルクの奴、遅いな…。そろそろ戻って来ても良い頃だろ、いくらなんでも。
そう思って、俺はドルクと話していた町の外まで歩いて行く。
「ったく…」
そこに居たことは間違えなかった。が、こいつは…出発する前に風邪引いたってのに、こんなところでぐっすり寝てやがる。しかも俯せに、ってどんな寝相だよ。
「仕方ねぇか…」
俺は無防備に眠っているドルクに近寄り、まず身体を仰向けにしてやることにした。まだ眠りが浅いようなら起こしてやった方が手っ取り早い。
俺はドルクの右肩と右脇腹と地面の間に手を入れてから、そのままひっくり返した。
ドサッ
ちょっとわざと乱雑に扱ってみたが、起きる気配はこれっぽっちもない。
完全に寝入っちまってるな…無理にでも叩き起こすってのはやっぱり気が引けるな…。
それから担ごうかとドルクに近付くと、どうしてもドルクの顔が目に付いてしまう。その無防備な寝顔が…。
「って、何考えてんだ、俺はよ…!」
今なら少し何かしてもバレやしねぇよなぁ…。昼間のこともあるし、何か仕返ししてやるか…?例えば…。
「っ、だから何考えてんだっての。さっさと運んでやんねぇとまた風邪引かせちまう」
一瞬頭に浮かんだ考え、というより妄想を頭から降り払って、俺は今度こそドルクを担ごうと、腕に手をやろうとする。
お互い背も近いし、ドルクを仰向けのままにして担ごうとすれば、ちょうど顔が正面に来てしまう。そこで止まらなければなんの問題にならないのだが、さっきの妄想もあり、ついついドルクの顔が目に入り、その瞬間に俺の身体は止まってしまった。
少しくらいは…良い…か?寝てるし、ドルクだって分からないはずだし…。
「ドルク…」
俺は腕はそのままドルクの腕に掛けたまま、自分の頭をドルクの頭に下げていく。傍から見たら、俺がドルクを押し倒しているように見えるんじゃないかと思う。
少し、また少しと俺とドルクの顔との間の距離が縮まり、俺の嘴がドルクの唇に触れようとしていた。
俺は目を閉じてから、そのままドルクの唇にキスをしようとする。