素敵な貰い物[文]
□キバトリさんからの相互記念
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僕の名前は里宗叶。白い毛並みに金色の瞳の山羊獣人だ。良く背が低いとか童顔とか言われる。
で、今僕は困っていた。まさかこの歳になって迷子になるなんて思いもしなかった。しかもなんだか住宅地に入り込んだみたいで、目的地が見える気配もない。
仕方ない、携帯で調べよう。
さすがに表向きはただのセキュリティ万全の高層マンションだからすぐに分かる。
うわっ…真反対に行ってる。急がないと日が暮れちゃうなぁ…。
仕方なしに僕は走って目的地まで行くことにした。走りは普通に結構早い方だと思う。
ドンッ
走り出して早々に、曲がり角から出て来た誰かにぶつかって、僕は思いっ切り吹っ飛んでしまった。
「お、おい、大丈夫か?」
「いたた…、はい…大丈夫…です…」
見上げて僕はその人、銀色の瞳の黒い狼獣人に釘付けになっていた。
すごく背が高くて、筋肉もそれが学生服を上に着ていても分かるほど隆起していて、逞しい体付きをしている。
「あ、あの、お怪我は…」
って、僕が吹っ飛んだのに何言ってんだろ…。
「それより自分の心配したらどうだ?」
そう言いながらその狼獣人は僕に手を差し延べてくれる。
ああ、優しいんだなぁ…。
僕はすぐに差し延べてくれた手を取り起き上がる。起き上がるのに必要はなかったけど。
これ…暁高校の制服だ…。てことはまた会えるかも知れないんだぁ…。
もう少し色々知りたい…。
って、僕なにやろうとしてるの!?それよりいつまで手握ってるつもり…。
そう思ったらもの凄く恥ずかしくなった。
「あ、あ、失礼します!!」
僕は急いで走り去ってしまいたかったけど、本気で走ってしまうと普通では異常な早さになってしまうので、僕は多少速度を落として走った。