捧げ物

□ギルさんに16000Hitキリリク!
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「美味かったぜ、メル」

俺達は夕食を食べ終わり、一息ついていた。……ふむ、食後のデザートもなかなか…。

「…それにしても、料理作るの速くないか? 作り置きしてるような味じゃ無かったけど…」

ミックがバニラアイスを食べながらメルにそう言った。…頼んでから1分もしない内に料理が来るんだ。一人で作っているとは思えないな…。

「…それが、いつの間にか不思議な力が使えるようになってまして……」

メルはそう言うと、既にデザートを食べ終わっていたラルドの皿を持つと、片方の手を皿にかざした。……瞬間、いつの間にか皿にはさっきと同じデザートが…。

「…私が作り慣れた料理なら、頭で想像し手をかざすだけで現れるのです…」
「ほぉ〜、便利だなぁ」

それを見たネロがデザートを頬張りながらそう言った。…血識か……?

「…作り慣れた料理だけ、なんですか…?」
「はい。他の料理や料理以外の物も試して見ましたが、駄目みたいで…」

メルがそう答えると、クリスはう〜ん、と唸る。

「……そのような血識は、聞いたことないです…」
「…大体、血識は何種類あるんだ?」

デザートをミックと半分ずつ食べていたオズワルドが、唸るクリスにそう聞いた。

「血識というのは数限りなくあるように思われますけど、意外とそうではないんです。親子や兄弟など血の繋がりがある場合、血識はほぼ同じで、違うものでも多くの特徴を受け継いだものが殆どだそうです。血識が現れはじめた時代から記録してある本には、今のところ数百程度しか記録されていません」

……数百程度“しか”、ねぇ…。十分多いような気もするが、俺の気のせいか…?

「まぁ良いじゃん! それで儲かってるんだからさ!!」

再び出してもらったデザートを綺麗に完食したラルドがそう言う。……まぁ、そうでもなさそうだがな…。
俺は、ラルドの言葉を聞いた一瞬だけ、メルの顔が少しだけ曇ったのを見てそう思った。

「…んじゃ、そろそろ部屋に戻るか。ありがとな、メル」
「いえいえ。入浴もいつ入られても構いませんので、どうぞごゆっくり…」

俺は立ち上がってそう言うと、メルは深くお辞儀をして答えた。…ん〜、こんなに良い宿なのに、なんで誰も泊まらないんだ…?
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