捧げ物
□ギルさんに16000Hitキリリク!
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「着いたぁぁ〜!!」
空が既に赤く染まりはじめた頃、ようやく俺達はリョウに着いた。……あぁ〜肩凝るわぁ〜…。
「早く宿探そうぜ? 結構居るみたいだしよ」
ネロが辺りを見回しながらそう言った。……確かに、明日の桜を見に来た奴らが大勢いるな。早くしねぇと宿に泊まれねぇ。
「リョウは結構大きい町だ。まだ空いてる宿くらいあるだろう」
俺はそう言って、リョウの町を歩き出した。……予約なり何なりしとくんだったぜ…。
「……すいません。既に満室で…」
「…そうか」
「申し訳ありません、お客様。お部屋は既に埋まっております」
「……そ、そうか…」
「……………」
「…た、隊長…?」
…どれだけ歩き回った? これだけ探して空いてる宿が無いだと!?
「…隊長、あと一つ宿があるみたいですから…」
「……すまん。俺の計画不足だ…」
……クリスが調べた宿に向かっているが、そこも空いているかどうか怪しい…。
「…気にするな、隊長。こんなにも大勢いたんじゃ、こうなるのも当たり前だ」
「そうだよ隊長! そんなに落ち込まなくたって……」
「………すまん」
…謝ることしか出来ねぇよ、マジで……。
「…ここだな」
殆ど町の外に近い所まで来て、ようやく最後の宿に着いた。他の宿と比べると見劣りするが……ここが最後の希望だ…!
―――ガチャ。
「―――っ!! お客様!? お客様ですよね!!」
俺がドアノブを回した途端、ドアが中から思いきり引っ張られた。俺は素早くノブから手を離し、最悪の事態は免れる。
「早く、早く入ってください!! さぁさぁ!!」
綺麗にスーツを着込んだ兎獣人が、腰を低くして俺達を招く。…こりゃあ…
「…部屋は空いて―――」
「空いてます! 空いてますよぉ!! そりゃあもう、すっからかんです、ハイ!!!」
…少しだけ、この兎の目に涙が見えたのは、気のせいじゃないはず。
「良かったですね、隊長!!」
「あぁ。…6人なんだが、何人部屋があるんだ?」
カウンターに移動した兎獣人のもとに行き尋ねた。……極力全員が同じ部屋が良いんだが…
「勿論ございますよ6人部屋!! 団体様に対応した宿ですので!!」
素早く鍵と案内、そして料金表を見せる兎獣人。……手の早いこって…。
俺は財布を取り出し、中から金を出して支払うと、鍵を持って案内をもとに部屋へと向かった。
「良かったな、宿が見つかって」
ネロが嬉しそうににやけながらそう言った。……まずは一見落着だな。
「……だが、もう暗いな」
俺は窓の外を眺めてそう言った。……こいつらに自由時間を与えれなかったな。
「いいじゃないですか、隊長! 桜を見た後にだって十分観光出来るし!!」
……まぁ、そうだな。取りあえず今は、明日に備えてしっかり休むか。