捧げ物
□岩頭岩さんに捧げます
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「おはよう、セキショウ。朝から風呂に入ってたのか?」
俺が風呂場から戻ると、目の覚めたミルハが俺を見てそう言った。
「あ、当たり前だろうが!! 朝シャンは基本だ!!」
…風呂に入る理由の大半はお前のせいだ!!! と叫びたくなるのを我慢。あえてここは、朝方何があったかは言わない。
「…意外に綺麗好きなんだな。ところで、俺の手が日常的に嗅いだことある臭いがするんだが、俺の寝てる間に何かしなかったか?」
「なんっっっっにもしてねぇ!!!」
ミルハの日常生活を疑う。
「……まぁ、そういうことにしといてやるか。んじゃあ早速朝飯の―――」
『…セキショウ…』
ミルハの言葉を遮って、部屋に響いてくる聞き覚えのある声。
「サンダか!!」
『そろそろ時間だ。……思っていたよりも短いらしくてな』
……時間? 帰るってことか?
『用意はいいか?』
「ま、待てよ!! 挨拶ぐらい―――」
「セキショウ、またなっ!」
そう言って右手を軽く上げるミルハ。…どうも納得のいかない終わり方だが、仕方ない。
「おぅ! 今度会った時はプロレスを教えてやるぜ!!」
俺はミルハの右手に握手してそう言う。……まぁ、悪くは無かったな。
そして、俺の視界が一瞬で変わった。
「……ふむ。あのチケットは本物だったか…」
俺の目の前に現れたのは、体の後ろに手を縛った赤い竜人……サンダとフク。
「おかえりだぁ、セ―――」
「おい、サンダ!! どういうことか説明しろ!!」
俺はサンダに歩み寄ってそう言った。……まったく。コイツのチケットさえ無ければ…。
「…ふむ、そうだな。メルドラドという所から来たという怪しい奴から貰った怪しい物を、お前で試したとでも言っておこうか」
「―――ふざけんじゃねぇぞテメェ!!!」
……コイツのせいで、踏んだり蹴ったりだったぜ……。それにしても、怪しい奴っつうのは誰なんだ…? もしかすると、ミルハのいた世界の奴かもしれねぇなぁ……。
「……む。そういえばセキショウ」
「…な、なんだよ」
「揉まれながらは気持ち良かったか? ん?」
「なぁっ!? な、なんでお前……!!」
「俺は気持ち良かったかと聞いているんだが?」
―――ギュゥゥゥ!!!
「ふぐぅ!! …テ、テメェ、何してんのかわかってんのか……!?」
「情景描写が書かれてないから分からんな」
「…く、くそ……!!」
end