捧げ物

□フォルさんに捧げます
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「……ふぅ〜。結構疲れたねぇ…」

あの後何度か休憩を重ねながら、沢山のアトラクションを制覇してきた。……まぁ、そのうち何度か同じ物に乗ったのもあったが。

「そろそろ帰ろっか?」

確かに、もう辺りは夕焼け色に染まり、人の数も疎らになってきた。……だが、まだ“アレ”には乗ってない。

「半、最後に一つ乗ってかないか?」
「えっ?」

私は半の手を引いてそのアトラクションまで歩く。…遊園地の中で一番目立つアトラクションだな。

「……観覧車…?」

そう、私が最後に半と行きたかったアトラクションは観覧車だ。ここの観覧車はなかなか大きいので、景色は見応えがあるはずだ。

「どうぞ〜」

ゴンドラが回って来て、係員の声を聞きながら私と半は観覧車に乗った。

「観覧車から見る景色は最高らしいぞ?」
「へぇ〜…」

私達の乗ったゴンドラはゆっくりと上がって行く。窓から見える景色が段々と上がって行く。

「……うわぁ〜…!!」

ちょうど一番上に差し掛かる前くらいで、半が感嘆の声をあげる。私も窓の外を眺めてみた。さっきまで私達が歩いていた道があんなに遠くに見えて、私達が暮らしている街はあんなにも小さく見える。それが夕焼けに染まって綺麗だった。

「……本当に、綺麗ですね……」

私は、窓の外の景色を眺めている半を見ていた。……私の愛している人。

「……半」
「……? ―――んっ!!」

私は半が振り向いた瞬間、半の唇に私の唇を重ね合わせた。重ね合わせただけの軽いキス。今はそれだけでいい。

「ふふっ、クラフトさん……」
「……半、愛してる…」
「僕もです、クラフトさん……」

そうやってまたキスをした。このゴンドラの中は私と半、二人きりだ。

……絶対に手放したくない。私の大好きな半。……絶対に、手放したくない。












end
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