捧げ物

□フォルさんに捧げます
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「…怖かったけど楽しかったね!」
「……そうか…」

十数分してから私と半はお化け屋敷から出た。……真相なんて知ったことではない。まさかあれほどまでに手の込んだお化け屋敷だとは思わなかった。正直言うと、少し怖かった……。
私は、まだ緊張覚めやらぬ状態で前を歩く半の後ろを歩いた。

「クラフトさん、次はココに行こ!」

そう言って指差したのはジェットコースター。しかもこの遊園地で一番激しいやつだ。

「……半、大丈夫か?」
「大丈夫だよ! ……僕よりクラフトさんの方が心配だなぁ〜?」

半はそう言いながら、ニヤニヤと私を見る。……このままでは私の立場が危うい!

「そこまで言うのなら行こうではないか!」

…というわけで私と半は、そのジェットコースターを目指して歩いた。














「うぅ〜……」

背中を曲げて唸りながら歩いている。……私の予想通りだ。

「……半には早かったかな?」

私は半の背中を摩りながら言った。…そう。“気持ち悪くなってるのは半”だった。

「……回りすぎだよ、あのジェットコースター…」
「…少し休むか」

半が辛そうにしていたので、私達はすぐ近くのベンチに座った。

「ジュースを買ってこよう。半はここにいてくれ」
「はぁ〜い」

半の気の抜けた返事を聞いて、私は近くの自販機に向かった。適当に缶ジュースを二つ買って再び戻ってくる。

「ありがとうございます」

半は冷たい缶ジュースを手に取り、タブを開けて中身を飲む。私も同じようにして缶の中身を飲む。

「ん〜! 生き返るなぁ!」

半は一気に缶ジュースを飲み干し、近くにあったごみ箱に缶を投げ入れた。私もそれから少しして飲み干し、同じごみ箱に空になった空き缶を入れた。

「さぁ〜て、次はどれにしようかなぁ……」

半はマップを見ながらそう言った。……もう夢の事を忘れさせることが出来ただろうか。嫌な夢を忘れるには、とても楽しい出来事があれば忘れることが出来ると私は思っている。これで、半は悪夢に悩まされることはないだろう。

「クラフトさん! 次はコレにしようよ!!」
「どれどれ?」

私は半を愛している。だから、私は半にしてあげれることは全てしてあげたい。
私は半が指さすアトラクションへ向かうべく、半の手を引いて歩いた
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