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□第2話:ニガイ記憶
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「じゃあ俺は今日用事あるから先帰るわ、また明日な!」
そう言うと、大石先輩は帰ってしまい、部室にはあたしと部長だけが残った。
ー流れる沈黙ー
リョーマとだと気まずく感じた沈黙も、部長とだと心地好い気さえする。
それは部長が元から寡黙な人だからなのだろうか…?
「おい。」
「へっ?」
部長がいきなり声を掛けてきたので、あたしは思わず変な声を出してしまった。
「…そろそろ帰りたいんだが…」
時計を見ると下校時刻をカナリ過ぎている。部長にしてみれば早く鍵かけて帰りたいんだろう。
「あっ…す、すいません!!」
あたしはTシャツをカバンの中につっこみ、急いで部室を出ようとした。
その時、
「待て。」
「えっ?」
部長が声をかけてきた。
あたしはドアノブにかけた手を外して部長を見た。
「もう暗い、送る」
部長からそんなことを言われるのは初めてで少し戸惑ったけれど、何となく、今一人になりたくなくて、あたしはその行為に甘えることにした。