シアワセになれる物語
□ぼくのなまえ、きみのなまえ
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「やぁ、四つ葉。あそびにきたよ」
「いらっしゃい、幸クン」
四つ葉は川の水をジョウロに汲んでいた。
花に水でもやるのかなぁ?
「ねぇ四つ葉。町にいかないか?こんな森の中にずっといちゃ、つまらないだろう?」
しかし四つ葉は首をふる。
「ダメです。今日は…あそべません」
「じゃあ、いつあそべるの?」
「わかりません」
四つ葉は手にしたジョウロを見つめてる。
なんだろう?なにか事情でもあるのだろうか?
「四つ葉…どうしてあそべないの?」
「…木が…」
「?」
「木が…死んでしまうんです…」
「木?」
「はい。森の中央にある『癒しの木』です」
ああ、あれか。
森の真ん中にどーんと立派にそびえたつ『癒しの木』。
あの木はこの森の「守り神」だそうで、あの木が森の草木や花たちに命を与えている。だからこの森は緑でいっぱいなんだ。
その木が死ぬだって?
「大変じゃないか!ぼくも手伝うよ。癒しの木を助けよう!」
ぼくは四つ葉の手を引いて、森の中心まで走った。