dream
□日常下克上
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辺りはもう暗闇。
教室から見えるはライトアップされたテニスコート。
テニス部の部活風景を見ながら待ち人を待つのは日常。
規則正しい足音。それはまっすぐこの教室に向かっている。
「また待ってたんですか?帰っていいと言っているのに」
ドアを開けて開口一番。
もっと他に言うことはないのか日吉。
「いいじゃん。あたしが待ちたいんだから」
「飽きない人ですね」
飽きないのは日吉も一緒でしょ
そう思ってみるけど口には出さない。
特に用もないのにわざわざ教室に戻ってくるのは…
あたしがいるってわかってるからでしょ?
これは自意識過剰?
目の前に置かれたテニスバッグ(ていうの?)からは微かに砂ぼこりの匂いがした。
バッグからラケットやら乱雑に放り込まれている物を取り出して整理している。
微かに香るは日吉の香り。
「“俺様”には下克上出来そう?シングルス1狙ってるんでしょ?」
今や日吉の代名詞ともなった下克上。
彼はいつでも上を見てる。
「あぁ、いずれシングルス1の座は俺のものだ」
そんな事を話す間も手を休めない。
けれどその言葉は明瞭。