Main

□かわいくって少し馬鹿。(3D4N)
1ページ/1ページ

「…誰だ?アンタ…」

ネロは、本来いるはずの店主のお気に入りのソファの上で、店主と同じようにデスクに足を投げ出して雑誌を読んでいる人物を見て、呆然とした。

「…人の店にあがり込んできてそりゃないぜ、坊や」


坊や……って…えぇぇ!?


【かわいくって少し馬鹿。】


自分や彼と同じ銀髪。
彼とよく似た赤いコート。
顔、声も…かなり似ている。
「…だだ、ダンテっ !?」
「うっせぇなぁー、知らない坊やに呼び捨てされる覚えはないぜ」
煩そうにネロを睨んだダンテ…らしい青年は、自分より少し年上だろうが、坊やと呼ばれるほど離れてはいない。
「けど、何で…?ダンテっつったら、髭生やしたオッサンだろっ?」
ネロはまじまじとソファを陣取っている態度の悪い青年を見ながら云う。
すると、青年は声に出して笑った。
「まだオッサン呼ばわりされる歳じゃねぇつもりなんだけどな」
「オレだって今のアンタに坊や呼ばわりされたくねぇ!」
バンッとデスクを叩いて怒鳴ったネロの右腕に気付いたのか、若ダンテはじっとその青白く光る腕を見つめると、
「へぇ?お前、おもしろい身体してンだな」
口の端を上げて、彼独特の含み笑いを浮かべた。
若ダンテのその笑みに嫌な予感がして、ネロはとっさに腕をしまおうとした。

…が。

「ってぇ…!」
予想以上の力で捕まれ、びくともしない。

…自分と大して変わらない歳、体型なのに。

…敵わないはずがない…!

「は、離せ馬鹿っっ!!」
「ぐはっ!!」

ドゴッ!

力いっぱい繰り出したバスターが若ダンテの頭に直撃し、壁まで吹っ飛んだ。
どうやらウェイトはさほど変わらないらしい…
ほっとしてネロは右腕の袖を下ろした。

「…いってー…」

普通の人間なら確実に骨が砕けていたであろう一撃に、若ダンテはふらふらしながらもあっさりと立ち上がった。
その目に怒りの炎を宿して。
「へっ…いきなり来やがって何者かと思えば…そうか、坊やもオレと同類、だな?」
「アンタみたいな下品な奴と同類にされたくない」
「ほぉー?さっきっから生意気ばっか云っていやがるが…」
若ダンテは再びネロとの距離を縮めていき、ついには目の前まで来た。

身長もほとんど変わらない。
…なのに、なぜこんな威圧感を感じるんだ…?

が、彼の口から発せられた言葉は意外なものだった。

「坊や、オレのこと好きなんだろ」
「…はぁっ!?!?」
顔を覗き込まれて吹き込まれた言葉に、馬鹿正直なネロは顔を真っ赤にさせた。

…してやったり、と若ダンテは笑みを浮かべて言葉を続けた。
「オレ、男には興味ねぇんだけど、そこまで云われたらNOとは」
「つうか云ってねーよ!」
慌ててネロが遮る。

どうしよう…
コイツ、オッサン以上に馬鹿だ…!

「人ん家に押しかけて来るくらい気に入られてんじゃなぁー…うーん…」
「人の話を聞けっ!」
もう一発殴ってやろうと右腕を振り上げた瞬間だった。
「うぁっ!?」

ばたんっ

視界から標的が消え足を引っ掛けられたらしく、バランスを崩したネロは勢いよく横転した。
「ばぁーか。何度も喰らってたまるか、ンな危ない右腕」
けらけらと上から笑い声がし、本気でキレかけたネロだったが、
「重いっ…!人の上乗るんじゃねぇっ!!」
起き上がるよりも早く背中に跨がられてしまい、完全に身動きがとれなくなってしまう。
「テメェと対して変わらないっつの。さて…」
ネロの顎を掴んで自分の方を向かせると、赤いコートの青年は獲物を射るような瞳で見つめた。

「どうしたものかな…?」

笑みを含んだ声にさえ感じる獰猛な肉食獣のようなそのオーラに、ネロは更なる身の危険を予感せざるをえなかった…



to be continued…?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ