金盞花の香
□桜
1ページ/3ページ
桜よりも何よりも
魅入ってしまうのは貴方の姿
〜桜〜
一日も終わりかけた頃
僕は友人の阿散井君と檜佐木先輩といつも通り宿舎に戻ろうとした時
『ああ、吉良君やないの、久しぶり』
独特の訛りがあるイントネーションで話しかけてくる長身の人物
いくら世の中広いと言ってもそんな知り合いは僕が知る限り一人しかいない
「お久しぶりです。市丸副隊長」
『ああ、そんな固くならんでええよ。なんならギンって呼んで』
仮にも五番隊の副隊長が僕のような唯の院生にそこまで馴れ馴れしくて良いのだろうか・・・
そう考えている最中に
『・・・で吉良君。こんなんでええやろか?』
「え!?あ、はい。いいんじゃないですか」
何やら僕が一人で考え事をしている内に市丸副隊長が話しかけて下さっていたようだ
いきなりの事で驚いて思わずはいと答えてしまったのだが一体何を話していたのだろうか
『じゃ、明日の晩によろしゅうな』
「は、はいっ!さようなら」
しまった、聞きそびれた。
ーまぁ良いか
「それにしてもよぉ吉良、マジに良いのか。」
「へ?何のこと?」
風呂に入っているとき真横にいた阿散井君から突然聞かれた
「だからよぉ、市丸に誘われたじゃねぇか」
「それは俺も気になっていたんだが、お前よく承諾したな」
阿散井君に続いて檜佐木先輩まで聞いてくる
「・・・実は何に誘われていたのか全然分からないんですよ」
「「はぁ!?」」
渋々答えると予期してはいたが二人ともほぼ叫びに近い声を出した