金盞花の香

□人魚姫
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誰かが自分を呼んでいる声がする
イヅルは遠のいていく意識の中そう思った

事が起きたのは数時間前

まだ入隊したての隊士達が席官達に連れられていくのを見守っていた。だがその後すぐに緊急要請がきた。
慌てて現世に行くとそこには血にまみれた真新しい死覇装とほんの数回しか会話したことがないが見知った顔が見えた
「(上位席官でさえ歯が立たないとは・・・厄介だな)」
そう溜息をつきながら愛刀「侘助」を抜刀した刹那
大量の虚が現れ襲いかかってきた
副隊長である自分でも気を抜いたら瞬殺されそうだと思ったその矢先
『吉良副隊長っ!危ないっ!』
「え?」
隊士の焦った声に驚いて振り返ると
目の前が真っ赤に染まった

「(まさかこの僕が不意打ちをくらうなんて・・・)」
統学院では勉強は常に主席、剣術は同期の阿散井には適わないがそれなりに強かったと自負していた
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