■ショート話■

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07/14(Thu) 12:47
カンクロウとキバ
********



木の葉の空は、いつも抜けるように青い。
薄い黄色の幕を張ったような、砂の国の砂塵の空と違うから。

青い青い空の下、キバは手を振る。

元は敵だということを忘れたかのように、古くからの友人のように。


「カンクロゥ!」

呼ぶ声は、ちょっと舌足らずの木の葉なまり。


中忍事務官として他国の客を出迎える姿には、とても見えない。

迷いなく、遠国の友を歓待する、のだ。


飯に行こうと誘う時も、仕事の愚痴を言う時も。
内緒だよ、と頬を染めて恋人の話をうちあける時も。


俺の気持ちなどかけらも知らず。

ぎりぎりまで俺を引き寄せ、そして内側には入らせない。
そんなおまえが、何よりも憎くて愛しい。


会いたくて狂いそうで、だからまた会いに来てしまう。

この心を切り刻む、その笑顔が見たくて。



キバの笑顔のようなこの青空が。





――――――崩れて落ちてしまえばいい、と思った。




**************
片思い恋々。
きっとずっと、愛しいままだ。
死んでしまえばいいと願うほどに。

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07/13(Wed) 11:15
シノ
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翼の名残




まだ熱を保った空気ががさりと動く。

薄いくらがりの中、うっすら白く浮かび上がるのは浮き出した翼の名残。

傷ひとつないシノの背中から、長い腕がううんと伸びをする。


「もう行くの?」


答えは寄越さず、ただ肩越しに笑みだけ投げてくる。


いつ切れてもいい自分たちの関係だけれど。

サングラスを外した目が笑むと、いつも自分の負けだと思う。



この目に捉えられている浅はかな恋に、気づかされて。

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07/13(Wed) 00:40
******
キバ

泣き顔で頬染めて、熱い息を吐き「やめて」と言う言葉がそらぞらしい。

お前から訪ねてきておきながら、拒否をせずにはいられないのだね。


嘘つきのキバ。

その紅い舌、抜いてしまおうか。
愛していないなどという言葉を吐くまえに。


あえいで開いた口に指を入れ、尖った犬歯を爪でなぞる。

閉じられなくなった唇のあいだから唾液が伝い顎を濡らす。

さあ言って。
さげすむ言葉を、侮蔑を拒否を。


指先を舌にのせてなぞれば、キバが嗚咽と甘い吐息をもらす。

わがままで狡猾で、欲望のためなら平気でひとを傷つける。



誰より可愛い獣の子。

*********
黒キバ。その毒に溺れて殺されたい。

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07/07(Thu) 00:54
ハヤテサスケ
陣也

ハヤテは俺の体、どう思ってんだろ。

鏡のなかにうつる自分を、サスケは鬱陶しげに眺めた。

そこには、肉の薄い胸と鎖骨、骨格のかたちそのままの尖った肩と、細い首。

サスケは自分の体を見るのが嫌で、普段は鏡から視線をそらす。
自分の部屋の風呂場には鏡は置かないけれど、ハヤテの家の風呂には、脱衣所に一枚の鏡がある。

それは、風呂からあがるとちょうど上半身がうつる位置。

湯気にくもったなかにぼんやりと、いかにも子供っぽい体がうかんでいる。

大人になるまであと何年かかんのかな。

握ったこぶしできゅきゅっと鏡をこすると、嫌いな体がくっきりと見えてしまって、サスケはもっとゆううつな気持ちになる。


灯りの落ちた木張りの廊下に、ぺたぺたと足跡を残しながら、まっすぐ歩いて突き当たりは台所。

そこから洩れるオレンジ色の光。
ご飯のいい匂い。
湯気と、人や物が動く音。

誰かがそこにいる気配を、また今日も感じることができる。

サスケは、ハヤテの姿が見えないこの瞬間が好きだ。

台所をのぞき込めば、まるで計ったかのように、自分が風呂から出る時間ぴったりに「ご飯ですよ」と言う、その声が聞こえるだろう。


*******

久しぶりのショート話!
鉄板のハヤサスで。

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09/03(Wed) 20:21
ネジ。
*****


あなたには心に決めたひとがいると、誰もが言う。
それは本当のことなのだ。
だって、ふたりでいる時のあなたはとてもよく笑うから。


僕を覚えていますか。
僕といた時間があったことを、覚えていますか。


どうか僕を忘れてしまってください。

あなたを得られないならば、時間が戻せないならば。
心の隅に片鱗も残らぬように、消してしまって下さい。


あなたの名を、僕は一生つぶやくことはないだろう。
どんなに近くにいても、あなたから目を逸らして生きていくよ。

泣きたくなどない。悲しくなどない。

だけど、願いが叶うなら。



僕の屍を見取るのが、せめてあなたでありますように。

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09/03(Wed) 20:20
サスケ。
************


夜ひとりでいると、思い出す手がある。

俺の胸を、ゆっくり撫でる大きな手。
静かに撫でられて、鳥肌たつほど感じてるの気づいてるくせに。
俺を泣きそうなほど感じさせて、すぐにはくれない意地悪な手。

骨ばった手、綺麗に揃えた爪、熱のひくい手のひら。

焦らして、声を出すまで焦らすあの手が今すぐ欲しい。
自分で触れてもちっとも気持ちよくない。
皮膚を爪先で掻いても、あのむず痒い快感にはならない。

早く俺のところに戻れよ。戻ってこいよ。

その声で、その手で、行き場のない溢れる熱を受け止めて。

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09/03(Wed) 20:19
ゲンマ。
************


クールだの大人だの言われても、オマエの本性、俺は知ってる。
抱き合う前の、たった1回のキスでどれほど体を熱くするか。
「舌先に性感帯」って言ったら怒ったけど。
キスしないと、その先は決して許してくれないのが基本スタンス。
そういえば舐めるのも好きだよな。舌先ひらめかせて。

銜える銀の千本が、俺の最大のライバル。
唇からはずされたら、それがオマエの欲情の合図。
プライドが邪魔で素直に「やりたい」って言えないから。

だから今夜も俺はオマエの紅い舌、奪う努力をするんだよ。

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09/03(Wed) 20:18
シノ。
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まだ熱を保った空気ががさりと動く。

薄いくらがりの中、うっすら白く浮かび上がるのは浮き出した翼の名残。
傷ひとつないシノの背中から、長い腕がううんと伸びをする。

「もう行くの?」

答えは寄越さず、ただ肩越しに笑みだけ投げてくる。

いつ切れてもいい自分たちの関係だけれど。
サングラスを外した目が笑むと、いつも自分の負けだと思う。
この目に捉えられている浅はかな恋に、気づかされて。

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09/03(Wed) 20:17
キバ。
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泣き顔で頬染めて、熱い息を吐き「やめて」と言う言葉がそらぞらしい。
お前から訪ねてきておきながら、拒否をせずにはいられないのだね。

嘘つきのキバ。
その紅い舌、抜いてしまおうか。
愛していないなどという言葉を吐くまえに。

あえいで開いた口に指を入れ、尖った犬歯を爪でなぞる。
閉じられなくなった唇のあいだから唾液が伝い顎を濡らす。
さあ言って。さげすむ言葉を、侮蔑を拒否を。

指先を舌にのせてなぞれば、キバが嗚咽と甘い吐息をもらす。
わがままで狡猾で、欲望のためなら平気でひとを傷つける。

誰より可愛い獣の子。

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05/23(Fri) 21:49
カカシゲンマ
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いばらひめバージョン


闊歩するその姿。
歩幅もひろく、視線を上げて、まっすぐに。
まとわりつく周囲の視線をたたき落として、
ただ、まっすぐに歩いてゆく姿に焦がれるよ。

「……ゲンマくーん」
後ろから名を呼べば、一瞬おいて振り返る。
その眉間には、いつもの怒り皺。
それはきみを守る、愛しいきみの鎧だね。

「なんか用ですか」
「べつに、用はないの」
「――それではこれにて」

すっぱり俺の存在を切り捨てて、くるりと鉢金を向けた。
背中向ければ、俺ががっかりするとでも思ってる?
きみのきれいな顔とおんなじくらい、
金茶の後ろ髪もすきなんだって、知ってるかな。

きみを引き止めたら怒るだろうか。
その手を引き寄せたら、俺を見てくれるだろうか。
そんな夢をみながら、俺はきみを見送る時間を楽しんでる。

この世界でいちばん気高い、俺の茨姫。

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