宝物
□勢い注意!
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数日前にヴェルディから与えられた、家に帰った頃には、日が沈みかけていた。
「寒い!」
「お前は、それしか言えないのか」
この家は、三人以外誰も住んではいない。その為、暖炉が着いている訳がなく、外よりはましだが、やはり、寒かった。
「スヴェルト、荷物頼んだ! 暖炉、着けてくる!!」
「…勝手にしろ」
深々と溜め息を吐かれているのにも気付かず、クーはすごい速さで走っていった。スヴェルトの隣では、リコニスが苦笑を溢している。
「きっと、ディーネの影響もあるんだろうね」
「どうだかな。さて、さっさと運ぶとするか! リコは持たなくていいからな」
「少しくらい持つよ」
「大丈夫だ。行くぞ」
軽々と二人分の荷物を抱えて、スヴェルトは先に行ってしまった。それに、溜め息を吐きながら、彼女は後を追った。