追憶の彼方の記憶〜remembrance〜
□七章:巻き込まれる日常
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七章:巻き込まれる日常
「……………っはあ〜。今日も疲れた。」
「ほんっとに瞳夜って馬鹿だよねー。」
今日は居残りも説教もなかったため、瞳夜は翠夏と一緒に帰っていた。
「そんなに馬鹿って言うことないだろ。」
「事実じゃん。」
「……………んんん」
「ん?何か言いたいことでもあるの?」
「んんんん………ない。」
はあとため息をつきながら瞳夜は呟いた。
「ないならいいわ。じゃあ早く帰ろっか。」
パタパタと瞳夜を置いて走り出す翠夏。
「おいっっ!!待てよ!」
瞳夜も慌てて翠夏を追って走る。
瞳夜は男だ。しかし翠夏のほうが体力があるのがまるわかりだった。
みるみるうちに瞳夜と翠夏との距離が離れていく。
「………はぁっっ、まっ……ま…て………っは、はぁっ」
必死になって走っていると翠夏が立ち止まっているのが見えた。
もうそこは翠夏の家だった。
「はい、エスコートご苦労様。」
「…………………っ、はあっ、今のは俺がエスコートされてるだろ。」
「あはは、そうかもね。じゃあねん♪」
笑いながら翠夏は家に入っていった。
「……………無駄に疲れた。」
帰ろ、と瞳夜は1人裏路地を歩く。
こつこつと靴音が壁に響く。
(そういえばこの路地でフラットにあったんだよな………しかも昨日に)
もう1週間くらい前な気がしてならない。
はあともう何回目になるかわからないため息をついて、瞳夜は歩く。
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