追憶の彼方の記憶〜remembrance〜
□六章:一時の平和な日常
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六章:一時の平和な日常
「じゃあ、行ってくるから。」
あんなことがあった次の日だが瞳夜は学生、そして今日は平日。勿論普通に学校はある。
「いってらっしゃいませなのよ。」
フラットは玄関まで瞳夜を見送る。
「………あのな、それ恥ずかしいから止めてくれないか?」
「何言ってるんですの。私とあなたの仲じゃありませんか。」
「…………………昨日あった仲だろ。」
「そんなに照れなくてもいいんですのよ。」
「…………………………行ってくる。」
「いってらっしゃいませなの。」
はあとため息をつき、家を出た。こんなに疲れる登校は初めてだ。
「…っと、そうだ」
ぴたりと歩みを止め、瞳夜は振り向いた。
「フラット。」
「はい、なんですの?」
「部屋ん中、勝手にいじくんなよ。」
捨て台詞のように言って瞳夜は歩いていった。
「………………何か見られたくないものでも隠しているんですのかね?エロ本とか」
くすくすと1人で笑うフラット。
でもすぐにその笑みを戻した。
途端、真剣な目付きになる。
「でもそんな心配はいらないですの。私は用事があるですの。」
フラットは中に戻らずに、そのまま外に出た。
「仕事の時間ですのよ。」
そしてフラットは歩き始めた。
………そういえば、瞳夜の家の鍵を掛けていないがよかったのだろうか?
「気にしないのですの。」
もし泥棒に入られたら明らかにフラットの責任だ。
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