追憶の彼方の記憶〜remembrance〜


□五章:真実
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五章:真実




「……………はあ!?」

しばらく返答がなく、そして第一声は奇声だった。

「えっ?うそっ!?別世界!?あの、漫画とかによくある設定のやつ?」

「はい。最後の言葉はよくわからないのですのが。」

「確かに変なとこはあったけど、流石にそこまでじゃないと鷹をくくってたよ!うそっ、マジで!?」

「…………トーヤさん、もうそろそろ驚くのを止めてくださると話が続けられるのですのが。あと、キャラが少し崩れかけているのですの。」


「………………ああ。」


そう言われて頭が冷えてきた瞳夜は頭を軽く振った。

「よしっ、じゃあ続きを頼む。」

そうして瞳夜はフラットの隣に腰掛けた。


「はいですの。………えっと、私が別世界の人間ということまで話しましたのですのね?」

「それしか話してないけどな。」

「その世界を私達は『デイァー』と呼んでいますの。」

「で………ディアー?」

「デイァーですの。」

「で……デイアー………?で、でい………………もういいや。」


外国の発音かなと目星をつけ、日本語じゃないなら言えなくても仕方がないと諦め、瞳夜は無理して言うのを止めた。


「そんでそれはどこにあるんだ?」



「ありますよ、ここに」



「へっ!?どこに?」

フラットは周りを見回した。
瞳夜もそれに習って周りを見回すが勿論そんな世界は見えない。

「ないぞ、そんな世界。」


「デイァーはこの世界にあって、この世界にあらずなのですの。」


「…………どういう意味だ?」

「デイァーはこの世界と繋がっていますの。ただ、見えないだけ。」

フラットは何もないところに手をかざす。

「こうやってもこの世界には何もありませんが、実はデイァーの人に触れているかもしれないのですの。」

フラットは懐かしむように手を空中で撫でるように動かした。

「でもこの世界がデイァーを見ることが出来ないようにデイァーからもこの世界を見ることが出来ない、そういうものですのよ。」

「…………つまり、だ。この世界にとってデイァーって世界は“影”みたいなものってことか?」

「そんな感じですの。トーヤさん、意外と物わかりがいいみたいですのね。」

「意外とは余計だ。」

2人の間にようやく笑いが戻ってきた。


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