追憶の彼方の記憶〜remembrance〜
□四章:思考時間
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四章:思考時間
「………………………」
「………………………」
「…………………あのさ、」
沈黙に耐えられなくなった瞳夜がまず口を開く。
ここはもう裏路地ではなく瞳夜の部屋だった。
瞳夜は布団に寝そべり、フラットはソファーで体操座りをして何か考えていた。
ちなみにフラットはもうバスタオル姿ではなくちゃんと服を着ているので、あしからず。
「………………………」
フラットは瞳夜に話しかけられてもなお沈黙をつらぬこうとしていた。
聞こえていないのか、それともわざとなのか。
「……フラット、あのさ、」
「………………………」
「ちょっと聞きたいんだけど、」
「………………………」
「………………………」
埒があかなかった。
瞳夜はため息をつくとフラットの目の前にやってきて、………ぱんっと手を叩いた。
「ヒャウッ!!!!」
可愛らしい悲鳴を上げてフラットは我に返る。
「なっなにをするんですの、トーヤさん!」
「フラットこそ。なんでそんなに考え事をしてるんだ?俺が声を何度もかけているのに気付かないし。」
「そっそれは………」
とっさに目を反らそうとするフラットの顔を左右からガシッと押さえた。
無理矢理目を合わせさせる。
「………トーヤさん、強引ですのよ。」
何故か顔を赤らめて反論するフラットであった。
「話をそらすな。」
「話をそらしてなんかっ…」
「さっきの……シャープのことか?」
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