追憶の彼方の記憶〜remembrance〜
□一章:日常的現実
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一章:日常的現実
「……や。と…や。瞳夜!!」
「うわっ!!!」
いきなりの大声にビクッと身体をびくつかせて瞳夜は夢の世界から引き戻された。
ボサボサの黒髪を更にボサボサにかき回して瞳夜はトロンとした目を後ろに向けた。そして不機嫌丸出しの声を出す。
「……いきなり大声で叫ぶな、翠夏。」
声にも全くといっていいほど覇気がない。
それに対して、翠夏は鋭い目を瞳夜に向け言った。
「今がなんの時間か承知の上での行動よね?ええ、そりゃぁそうでしょうね。こんなに余裕なんですものねぇ。」
「それ、どゆ意味?」
瞳夜はこの状況をまったく理解しておらず、首をかしげる。
はぁ…と翠夏はわざとらしくため息を深く、深くついた。
「周りを見なさい、ま・わ・り・を。」
「ん?」
ここで改めて周りを見回すとそこは教室で…………授業中だった。
皆の目が瞳夜に注がれている。
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