宝物


□オレが君を好きな理由
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今日は白雪と烏の結婚記念日。この日だけは、烏は絶対他の女の子に声をかけないし、目移りもしない。
その目に映るのは、白雪ただ一人……。

白雪はそのことに気づいてないだろう。

「白雪っ!どこ行きたい?何食べたい?何したい?」
「そうですね……甘味を食べたいですし、ちょっとした小物も欲しいですし…」
「よし、全部行くぞ!!」
烏は白雪の手を握って歩き始めた。
「速すぎですあなた!ちょっと待ってください」
白雪は烏の腕に抱きついた。烏は白雪を見下ろす。
「ん〜?どした?今日はやけに積極的じゃね?」
いつもの白雪は烏の三歩後ろを歩くような雰囲気なのに、今日はやけに積極的だ。
ああ、と烏は納得した。
「最近、2人になることはあんまなかったからな〜」
ユエという小さな月王は、あまりに純真無垢すぎて放っておけないし、恋愛に疎すぎるのでベタベタするのも気が引ける。
「そ、そおいうわけでは……っ」
「はははっ!照れんなって!」
「て、照れてません!!」
真っ赤になりながら否定する白雪。
「ま、そういうことにしてやるよ。まずは甘味な?」
笑いながら烏と白雪は腕を組んだまま甘味屋へ向かったのだった。

「何食う?」
「では、おしるこにします」
それを聞いた烏は、クスクスと笑った。
「なんですか?あなた」
「やっぱり、お前を妻にして良かったな〜って思った」
「な、何を言っているんです?!」
「照れない照れない」
白雪は赤くなりながらおしるこを食べて………ふと止まった。
「ん?どした?」
烏が首を傾ける。白雪は烏に訊いた。
「そういえば、あなたは私のどこが好きで結婚したんでしたっけ?」
「ないしょ」
人差し指を唇に当て、烏は片目を瞑った。
「なんですかそれ?」
「ヒントは、白雪の行動なっ?」
「分かるわけないでしょう」
「じゃ、やっぱりヒミツ」
烏はそう言って笑った。白雪は熱いくらいのおしるこを食べつつ、むくれる。
「ははっ。なんだその顔!怒ってんの?」
「もういいですよーだ」
「ごめんごめん。悪かったな………」
いきなり烏はじぃっと白雪を見つめた。
「な、何か?」
「ついてるよ。しるこ」
白雪は手のひらで顔を拭いた。
「とれてないって!だから、ここ」
チュッと烏が白雪の頬に吸い付く。そしてついでのようにペロリとなめた。
「〜〜〜っ!?人前で何をするんですか!」
白雪が赤面しつつ言う。
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