宝物


□勢い注意!
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「寒い」

「一番厚着をしといる奴が何を言う」

冬空の下、両手に大量の荷物を抱えたクーとスヴェルトは、雪の市場を進む。少し前には、リコニスがキョロキョロと辺りを見回している。

「封印かけたばっかなのに、動いて平気なのかよ?」

「大丈夫だとは思うが、無理はさせない方がいいだろうな」

「じゃあ、見失わないように………居ない」

前を歩いていた彼女の姿は無く、クーは顔を強張らせた。彼女を象徴する黒髪も、白い毛糸の帽子で隠れている為、見付けにくい。

「馬鹿者。右の店に居るだろう」

「……相変わらず、目がいいな」

「普通だ。ほら、行くぞ。余計な虫が付いたら敵わん」

「ん、そうだな。その時があったら、相手を打ちのめすだけだろ?」

「愚問だな」

程なくして、買い物は終わった。一度だけ、リコニスに絡んできた輩が居たが、二人によって、何とも無惨な姿になっていた。それを、彼女が知ることはないが。
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