混沌的世界戦記・ヴィジュアル侍乱闘編

□第六話 登場!トモカイザーロボ!!
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この星の遥か彼方にある惑星…
そこで作られた宇宙連邦政府があった。
政府に所属する者は

宇宙刑事

と呼ばれている。
彼らは宇宙犯罪組織などを追って、様々な星に派遣される。
上島 智伽ことトモカイザーもまた、その一人なのである。

第六話 登場!トモカイザーロボ!!

ある日の昼過ぎ、木綿豆腐の玄関先に、巨大な小包(大包?)が届いた。あて先には

上島 智伽様
宇宙連邦政府武器開発局

と書かれていた。荷物の大きさは軽自動車一台分。
「智ちゃん。何かでっかいのが届いてるわよっ」
動かす事も出来ずに困っていた舞楽は、二階でヘバっている智伽に声をかける。
「今行きますっすよ…」
昨日、ゾルゲルゲの怪人にボロクソにやられた智伽は、這いずり回るように階段を下り、荷物と対面する。
「こりゃまたでかいっすね…」
荷物を見て、智伽は予想以上の大きさに驚いた。周りを調べると、スイッチがあるのに気がついた。
「何すかね、これ」
智伽はスイッチを何気なく押してみた。

ウィィィィィィィィィン…

周りを包むダンボールのような緩衝材が綺麗に折りたたまれ、中から小型のオープンカーが姿を見せる。
「へぇ〜、車じゃないっ!!」
舞楽は新品のオープンカーを、珍しそうに眺める。この星の車とは微妙に違う形状に興味がわいたようだ。
車の形は地球上で言うなら

ユーノスロードスター(マツダ)

のようなスポーツタイプ。しかし、運転席しかなく、人を乗せるようには出来ていないようだった。銀色のボンネットには

取扱説明書

と書かれた本がテープで張られていた。
「取説っすね…」
テープを剥がし、内容をチェックする智伽。そこには

宇宙刑事サポートメカ

と、仰々しく大文字で書かれていた。
続いて操作方法およびメンテナンス項目が事細かに記載されていたが
「…面倒っすね」
と、読むのをやめてしまう。
生来、勉強嫌いな智伽は携帯電話の説明書などの

文章が長くて、覚える事が多い

物が苦手なのだ。こういった事が災いし、コンバットスーツやレーザーブレードなどの操作も

基本操作以外の事が出来ず、本当の力が発揮されていない

場合が多いので弱いのだが、本人は全く気づいていない…
「しっかり読んだ方がいいと思うよっ」
あまりの諦めの早さに心配する舞楽。
「難しい事はわからんっすよ」
しかし、彼は大して気にしていないようだった。そして車に乗り込むと、乱暴にキーを回した。

キュルルルル………ブォン!!

エンジンが点火し、内部の照明などが点灯した。
「それじゃ、ちょっくら出かけてくるっすね!」
先ほどまでへばっていた智伽は、子供のように浮かれながら車を走らせる。
「駐車場代も追加ねっ!」
車を見送りながら、舞楽は電卓で計算するのであった。

母星よりサポートメカが送られてきた智伽は、試運転をすると言って意気揚々と出かけていった。

「あらま、やっと来たみたいねぇ」
話を聞いた雪千代は、ウーロン茶を飲みながら嬉しそうに話す。
「智ちゃんもこれで少しは強くなるといいんだけどねっ」
久慈屋のチーズケーキをつつきながら、舞楽も微笑む。
智伽は家事手伝いは頼りになるが、戦闘に関しては

役立たず

そのものであった。ゾルゲルゲの鉄仮面よりは強いが、魔獣には負ける事が多く、怪人相手では勝ち星が数えるほどしかない。彼一人で駆除活動が出来れば売上はもっと見込めるのだが、この状態では返り討ちにあうのは確実。
その為に、必ず一人は護衛がつくのである。
同様にミルフィーもギィティールの護衛が必要であった。
天使の力を手に入れてから半年しか経ってない事や、ギィティールの過去を聞いてしまうと、自然とこういう体制になってしまう。
「ミル姉はいいとしても、智ちゃんは男の子だからねぇ…」
窓に映る青空を眺めながら、智伽の活躍を期待する舞楽。

二人の心配をよそに、智伽は車を走らせる。
「なかなか速いっすね!」
傷の痛みも忘れ、彼はアクセルを踏む。車は徐々に加速し、オープンカー特有の

風に触れるような感触

を体感させる。しかし、加速が強すぎたので、風は智伽の顔を触れるというよりは引っ張っていた。
「あががががっ……」
まるでコントのネタのように顔を変形させた智伽は、急ブレーキを踏んだ。

キキキキィィィィィィッ!

車は勢いよく止まり、シートベルトをしていなかった彼を投げ飛ばす…
人間ロケットのように飛び出した運転手を待っていたのは街路樹のサボテンであった。
「ぎゃぁぁぁぁっ!!」
その勢いでサボテンを砕き、全身トゲだらけになって悶絶する智伽。
しっかり説明書を読んでおけば、こうならなかったのかもしれない………
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