混沌的世界戦記・ヴィジュアル侍乱闘編

□第十五話 強敵に備えてやる事といったら…
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しばらく平穏だった天魔京に、新たな脅威が現れた。

その名はヴェルヌ結社…

宇宙犯罪集団ゾルゲルゲを壊滅させた男、ウェンドリオルバスを総帥とする集団が本格的に活動を開始したのである…

第十五話 強敵に備えてやる事といったら…

天魔京で駆除師として登録されている者に配られる情報誌

駆除師通信(略して駆除通)

の今月の記事を見て、雪千代達は驚いた。
「ゾルゲルゲの次はヴェルヌ結社ですか…」
記事にはこう書かれていた。

天魔京郊外に現れた謎の兵士達!
ゾルゲルゲの怪人を上回る力で駆除師集団モルモルを壊滅!!

スポーツ新聞のヤラセ記事の様な見出しではあったが、実際に攻撃されたモルモルの構成員の状況と写真は凄まじいものであった。
「生存者が一人もいないとはな…」
パソコン上で流れているようなグロ画像以上の強烈な写真の数々…
ギィティールは真剣にその写真を見つめるが、元々駆除師でも何でもない志保は気分が悪くなってその場にしゃがみこんでしまった。
「すいません…わたしこういうのニガテなんで…」
「志保ちゃん、大丈夫ぅ?」
すかさずミルフィーは彼女をソファーに連れて行く。
「とんでもなく強そうっすね…」
新たな敵、しかも宇宙連邦政府内でも

最凶最悪と恐れられる集団

の出現に、智伽は不安を抱かずにはいられなかった。
「ねぇ姫、モルモルさんって強かったのっ?」
壊滅させられた駆除師集団について、舞楽は雪千代に尋ねてみた。
「リーダーのモルモルさんは元格闘家だったし、部下も格闘技に秀でた人達だったからねぇ。強かったはずよ…」
過去に一度だけ、戦死したモルモルと接触した事のある雪千代は、今回の敵の強さに戦慄を覚える。
その時のモルモルは素手で魔獣を倒していたのだ。駆除師になる前の彼は世間で

熊殺し

と呼ばれるほどの格闘家として名を轟かせていた。
「魔法が不得手だったから、そこを攻められたのかもしれないけど。こんな無残な殺られ方をする人じゃなかったはずよ」
雪千代の言う通り、彼らの写真は無残としか言いようがなく、部下は肉片しかなく、モルモルは腹部を巨大な何かで貫通させられていた。
「一度は戦ってみる必要があるわねっ…」
舞楽も新たな敵に恐怖心を募らせる。

同時刻 天魔京周辺の山林
かつて金の採掘場だったこの場所に、奇妙な物体があった。

UFOの様な外見の巨大な物体

そういう言葉が当てはまるこの物体こそが、ヴェルヌ結社の移動要塞なのである。
内部は非常に機械的であり、ゾルゲルゲの様な

どことなくチープ感の漂う秘密基地(特撮番組特有の)

とは一味も二味も違っていた。

奥の部屋には、軍服に似た衣装の大男がモニターに映し出された奇妙な、文字か数字の様な物の羅列を眺めていた。
「総帥も物好きだな。こんな辺境の星の征服に乗り出すなど…」
銀色の長髪をなびかせたこの男はヴェルヌ結社の将軍の一人

ジェルドラン

である。今回の作戦で先陣を切る事になったのだが、今ひとつ納得していない。

それは前回の駆除師集団モルモルとの交戦で、この星の戦闘能力を試した結果による物が大きい。

非常に戦闘力の低い存在との戦い

それは彼の将軍としてのプライドを傷つけるものだった。
「戦闘兵士と騎士すら倒せない奴らに何を期待しているのだ?総帥は」
モニターを見つめながらグチをこぼすジェルドラン。
画面の文字を訳すと

この星の戦闘力を殺ぎつつ、ゾルゲルゲの生き残りを始末せよ

と言った内容になる。ここで彼が言う戦闘兵士とはゾルゲルゲに置き換えれば鉄仮面、騎士は怪人になる。
尖兵すら倒せぬ戦闘力の相手ならば、一日でどうにかなりそうなものだとジェルドランは思っていたが、ウェンドリオルバスがそれを許可しない。
彼が不満を漏らすのも無理はないのであろう…

「将軍!出撃準備が整いました!!」
部屋に現れたのは牛の様な顔をした歩兵用の軽装鎧を身につけた怪人。
「イキッモよ!思い切り暴れて来い!我らの力を見せ付けてやるのだ!!」
「了解!!」
敬礼をしてイキッモはその場を後にする。

数時間後…

ヴェルヌ結社出現の通報を受けて、現場に出動した木綿豆腐一同。
そこには牛の様な顔をした怪人と、三つ目の兵士数名が先行した警察隊を相手に暴れていた。
すでに戦死者も出ているらしく、辺りは騒然としていた。
「これ以上被害が拡大するとまずいわね。アタシと智っちとギィティで突撃かけるから舞楽はミルフィーちゃんと志保ちゃんと協力して負傷者の回収に当たって」
「姫…気をつけてねっ」
心配そうに見つめる彼女の手を握り
「大丈夫。アタシを信じてよん♪」
いつもの緊張感のない口調でウィンクする雪千代。
「それじゃ行くわよ!!」
「了解!!」X5
各自戦闘体勢を取りながら戦場に向かった。
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