novel
□もしもしコール
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もしもーし
もしもーし
こちら青鼻のトナカイ、人呼んでスーパーミラクル伝説の海の男、ドクターチョッパー。
聞こえますか?
応答せよ、応答せよ。
もしもーし
もしもーし
こちらチョッパー、七ツの海とグランドラインを制す永遠の船医。
只今放送を受信した。
そちらの状況はどうだ?
ううん。
なるほど。
それはそれは素晴らしい。
順調に航海を続けてくれたまえ。
それでは安全を祈る。
こちらからの放送は以上だ。
アディオス。
「ううーん、これは大変だよ、ゾロ!」
自分の腹に食いつくようにへばりついているトナカイが、大まじめに声をあげた。
ゾロは先程から腹巻を下げて汗くさいシャツを首元までまくしあげているので、いかんせん鈍臭い格好でいることが気にくわない。
加えて、先程から不規則に当たる聴診器の冷たい感触もまた気にくわないし、勿体振ったトナカイの態度も気にくわない。
「ああ?」
早く終われと言わんばかりにトナカイをにらみつけた。
「何がいけねぇってんだ?」
「大変なんだ、ゾロ、君、信じられないくらい健康だ」
丸い目玉をぱちくりさせた、惚けた顔を、これでもかとばかりににらみつけた。
「阿呆が」
さっさと服を直すと、不機嫌な剣士は矢継ぎ早に保険室を後にした。
「じゃぁ、次のひとー」
ドクターチョッパーの定期検診はまだ始まったばかり。
end