頂き物
□ココロ剥離
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最初から“彼女”とは馬が合わないと思っていた。だってそう、私と火縄銃は紛れもない恋敵だからだ。
『アンタばっかり、照星さんに触ってもらってずるいわ!!』
だんだんっ!と私は地を踏み鳴らす。凄い地団駄。
私がどんなに声を荒げて怒り散らそうとも、コイツは至って冷静に私を凝視する。(その小口径で)
嗚呼、その視線が大嫌い。無言のままに、私のことをずっと責め立てるの。
『アンタなんか、壊れてしまえばいいのに。』
照星さんには悪い気がした、けれど私はその砲径に小石を詰め込み、遠くの川へと投げ棄てた。
サヨナラ、さよなら。
“彼女”はザブン、波に呑まれ消えていく。嗚呼、なんて清々しい。なんていい気味!
いいよね、いいんだよね。
だって火縄銃なんてそこら辺にごろごろ転がっているから。アンタの代わりはいくらだって見つかる。
『……、どうして?どうしてですか照星さん。』
だけど、私は地に平伏す。
帰って来た照星さんは無表情のままに私のことを平手で撲った。ジンジン、ジンジン痛かった。
「どうしてくれる。」
私を見下す双眼が酷く冷ややかで、ゾクリ身体中の血液が騒いだ。嗚呼、何という殺気。
『ま、待って下さいっ…照星さんっ。』
私の代わりなんて居ないのに、どうしてあの火縄銃のことばかり気に止めるのか分からなくて、遠く、小さくなっていく背中に苦しくなった。
ココロ剥離
(ズタズタ心の、慟哭)
END.
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【親友は睡魔さん】の涼音に捧げます…照星さん(笑)←
LD50(mg/kg)如月乃亜様からです
乃亜様素敵夢本当にありがとうございました!